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イギリスのEU離脱派勝利についてロンドン在住の私が考えてみました1



今日はちょっと子育てとは離れて、真面目な話ですが現在日本でも話題となっているであろうイギリスの国民投票においてEU離脱派が勝利したことについて書きたいと思います。

まず前提として、私と夫はイギリスの永住権を持っていますが、日本人なので投票権は無く、離脱・残留をとやかく言える立場ではないので結果が正しいとか間違っているとか言う気はありません。ただ投票前はイギリスも全世界も信じていた通り「どのみち残留になるでしょう。」といった感じでした。投票当日の夜、22時から始まった開票結果がちょっと気になりTVでずっと見ていました。まさに互角の戦いの中、2時過ぎくらいから離脱派が僅差だけれど勝ち始め、それがしばらく続く状態に。それでも夫は「結局、残留はが最終的には勝つでしょう。」と言っていましたが、私はまさかが起きるのではない?と「予感」めいたものをその時に感じました。

『時として、世界では誰にも予想できないことが起こるときがある』

これは人類の歴史が始まって以来何度も起こったことで、当事者でさえ予想できなかった出来事の積み重ねで世界はここまで来ています。後から見て「これは正しかった、間違っていた」と言えるかもしれませんが、その当時に正しい結論が出ているかと言われると分かりません。ですから今回の「国民投票における離脱という結果」が正しいのか、間違っているのかなんて今の私たちには正確に議論できないんじゃないかと私は思っています。

今できるのは『何故、国民投票で「離脱」という結果になったのか。』という分析です。そこで私はEU離脱の国民投票に関わる基本的な出来事や、今回の結果について、BBCによる統計結果やその他の統計、TV報道、実際に周りの人の反応を参考に色々考えてみました。

まずEU離脱の国民投票はいつ誰によって決まった?
2013年にキャメロン首相自らが、「国民自らがEU残留なのか離脱なのかを決めるべきである。」と国民投票の実施を決めました。

誰が投票できたのか?
18歳以上のイギリス人、アイルランド人、イギリス連邦に属する国(キプロス、マルタ、インド、カナダ、オーストラリアなど53カ国)で、15年以上外国に居住していない人。これらを除いたEUに加盟している国の国民は投票権はありませんでした。

イギリス(UK)、イギリス人とは
正式な国名は、グレートブリテン及びアイルランド連合王国という名前で、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの地域(国という認識が近い)からなっています。歴史的にイングランドが他地域を侵略した経緯から、今でも地域間に複雑な感情が日常的に残っています。日本のような単一民族国家に近いような国に住んでいるとなかなか想像できませんが、イギリス人といっても所謂白人の人から、黒人、インド・パキスタン系、その他歴史的な背景からの移民系の有色人種のイギリス人も多いです。

投票結果は?
投票率72.2%。離脱派51.9%、残留派48.1%で離脱派が勝利しました。

残留派に入れたのはどんな人たちか?
BBCの国民投票の結果から、残留派が多かったのはロンドン全域、地方大都市(マンチェスターやリバプールなど)がメインでした。下図の年代別で言うと18~44歳までが残留派が多く、特に18~24歳においては残留派が73%にもなっていました。国で言うとスコットランドと北アイルランドでは残留派が勝ちました。



離脱派はどんな人たち?
地方都市や田舎街など、人口も多くなく、主要産業の少ないイギリス国内でも目立たない街が多く、年代別には45~65歳の間では離脱派が50%を超えていました。国で言うとイングランドとウェールズで離脱派が勝利でした。特に純粋なイギリス人(移民系でない)が多い地域に離脱派が多かったという結果もあります。(下図)



よく言われる富裕層(残留)VS貧困層(離脱)の対立で正しいのか?
EU離脱騒動でよく言われることですが、EUからの移民・難民によって福祉サービスの劣化や住む場所や職業を取られるなどの被害に絶えられなくなった貧困層の鬱憤が溜まって離脱の動きになったのではないか。これはある意味正しいとは思います。ただこれだけが原因ではないと私は思います。それについては後ほど。

移民全体がもたらすイギリスでの変化
確かに、ここ数年でイギリスにおける移民の数は圧倒的に増えました。私たちの住む地域でも5年前はイギリス人が多かったのが今は様々な人種の人が増えました。ロンドン全体が同じ傾向ですし、ロンドンだけでなくイギリスの地方都市にも広がっていっているみたいです。それによっての顕著な変化は住宅不足や価格の上昇や学校・病院など福祉サービスの不足・低下です。街によってはイギリス人と移民の数が同じくらいになってきて、移民の声が大きくなりすぎることに不安を覚えるイギリス人もいるみたいです。



住宅不足、価格の上昇は移民だけが原因か?
イギリスは元々、都市計画上、景観や環境を守るために建築制限がものすごく厳しく、10年以上も前から住宅不足が深刻でした。移民の増加や2009年のベビーブームによりその深刻度は増し政府も住宅供給を政治政策に掲げ、近年建設ラッシュがものすごいです。それでも住宅不足は解決せず、住宅価格は上昇し続けています。ロンドンでの話しですが、ここ5年で住宅価格が2倍近くになった地域もあります。住宅不足による価格の上昇に伴い、住宅を投資と考える人が増え、富裕層や海外投資家は住宅を投資目的で買占め、ロンドンに住む必要のある人たちは高い家賃を払って住み続ける必要が出てきました(現在東京の約2倍)。

イギリスでは「賃貸住宅に住むということはトイレにお金を捨てることと同じ」という言い方をされるほど元々賃貸は高く、人々は就職2年目くらいにローンを組んでstudioや1bedroomの小さな家を購入し、それを資産に売り買いしてどんどん大きな家に引っ越すのが一般的です(Property Ladderと言われます)。ですが近年、この最初の一軒目が高すぎて買えない、一般的な共働きのカップルや夫婦でさえ適切なサイズの家が高すぎて買えない現象が相次いでいます。

また貧困層の住宅ともなる公共住宅も古いものはどんどん壊されつつあるのですが、次に立つたてものが公共住宅ではなく一般人向けのマンション(法律により戸数の数%は貧困層向けの住宅ではありますが)で、貧困層は住むところを失ったり、ロンドンを去る必要がある人も出てきているみたいです。

うちの経験上、5年住んだ前の家での話しですが、ここ3年の間に家賃を3回あげられ結果として月3~4万くらいあがったと思います。正直この家にこの値段の価値はないと引越しを決めたのですが、マーケットに家が出されて2週間ほどで次のテナントが決まりました。そちらも外国人のカップルでした。

またロンドンでは家探し自体が大変で、少しでも良い家が出ると市場に出た2、3日後に5件以上ビューイングが入り、入居したい人がそれぞれオークションみたいに家賃を決めて、大家が誰を入居させるか決定するということも起こる本当に大変な状況です。実際、住宅不足、価格の上昇の原因が全て移民のせいではありませんが、一部は原因となっているのかなと私も実感としてあります。




学校や病院など福祉サービスの低下と移民の関係
移民の数の上昇も勿論ですが、ベビーブームによりイギリス人自体の数も増えているので、必然的に幼稚園・保育園・小学校などの教育施設が不足ていますし、患者数の増加から病院での待ち時間が増えたり、医療のサービス自体も低下しています。

丁度うちの息子が生まれた2012年はまさにベビーブームど真ん中、すでに幼稚園や保育園の数が足りていなくて、息子を幼稚園に入る前年に色々探したのですがすでに手遅れで、私立などは「子供が生まれる前からみなさん予約するのですよ。いまさら遅いです。」と鼻で笑われました。今はなんとか私立の保育園に入れ、小学校入学に備え、公立の小学校近くに引越し(公立は近い人から順番に入学許可が与えられる)小学校に入れる権利が与えられましたが、ほんと学校入学を決めるだけで引越しすることはざらで、特に人気校は競争が激しく、その周りの住宅価格が跳ね上がるので全く笑えない状況です。

病院に関しての経験ですと、私は出産2ヶ月後に胆石を患ったのですが、地元の病院の尿検査で値が異常だったからと総合病院の救急外来に回されたのですが、そこで5,6時間待たされました。2ヶ月の息子を抱っこして5時間病院で待たされ、ようやく医者に診て貰ったのが20時過ぎ。お腹を触られて「おそらく胆石でしょうが、精密検査しようにももう夜なので明日朝にしかできません。また明日来るか入院してください。」と言われました。胆石騒動にはもっと色々あったのですがそこは割愛して、とにかく患者の量が多すぎて医者が足りてない現状はよく分かりました。

移民といってもEUからの移民とそれ以外の移民があり、EUからの移民だけが原因でないのでは?
イギリス国内での移民の数が増え、それによって不都合が生まれてきたのは事実ですが、なぜEUからの移民が問題だといわれているのか。実は移民といってもEUからの移民とEU外からの移民があり、統計的には数はさほど違いはありませんが、実は2つには大きな違いがあります。

統計(下)によるとEU外からの移民の目的の半数47%は留学、続いて22%が仕事9%が職探しとあります。一方でEUからの移民の場合41%が仕事32%職探しと目的の大半がイギリスでの仕事ということです。

またEUからの移民は誰でもイギリス国内に入れるので仕事がない無職でも移住可能、つまり税金を払わない可能性がある人も入国可能で、税金により賄われている学校や健康保険などの福祉サービスは受けられます。一方でEU外の移民への入国審査はかなり厳密です。例え語学留学でもVISAの取得が必要なので金銭的に保障されている人である必要がありますし(大学の授業料はイギリス人の3~4倍です)、学校など勉強先、滞在先、働き先など身元が確かな人しか入国ができません。また、滞在延長のVISAも年々厳しくなり、かなり高収入の人しかもう永住権は取れない制度になりました。そういう意味でも同じ移民でもEUからとEU外からだと移民の質が違います。

問題はEUからの移民が全員とはいえませんが、EU内でも貧しい国で教育もあまり受けていない人がイギリス国内で単純労働を求め多く押し寄せ、それがイギリスの低所得者の職を奪う可能性があること。そして彼らがたとえ税金を納めていなくともイギリスに滞在でき、福祉サービスを受けられるという点にあります。またEU外からの移民数はイギリス政府によってコントロールできますが、EUからの移民はEU法によってイギリス政府はコントロールできない状態にあるということも大事な点です。(EU法についてはまた次回詳しく)




EUからの移民がイギリス国内の状態悪化に繋がっているのに何故残留派はそれを問題としないのか?
実際は問題としてない、というより問題にならないのだと思います。EU残留派にももちろん様々な人がいますが、一般的に知識層、富裕層が多いとされています。知識層・富裕層は職業も移民と取り合うことがほとんどありませんし、お金も余裕があるので住宅の価格の上昇にも耐えられる(もしくは自分も投資側で利益を得ている)。学校・幼稚園は一学期4000ポンドもする私立に入れれば問題ないですし、病院も高いお金を払ってプライベートの病院に行けば待ち時間もほとんど無い、高い水準の医療を受けられます。

EU残留か離脱かを考えるとき彼らにとって問題なのはそういった移民による弊害ではなく、EU離脱によって受ける経済的なデメリットが大きいということです。おそらくEU離脱か残留かを考える上で、そういった知識層・富裕層と中流~貧困層では全く視点が違うのではないかと考えられます。

また若い層の残留支持派は経済的な理由以上にEUからの友達が多い、恋人・配偶者がヨーロッパの人など、日常生活においてなくてならない存在の人たちがEUからの人で、ミックスカルチャーな環境が無くなることを恐れているというのが理由としてあるみたいです。



まだまだ考察の途中ですが、色々詳しく書こうとすると長くなってきたので今日はここまでにします。次回からはEU離脱のデメリットと言われている経済のことや、そもそもEUとはイギリスにとってどういう存在なのかについて書けたらいいなと思っています。

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